知ってる?話そう!
子どもの権利座談会
生活クラブまちあだち✖️このコどんなコ?プロジェクト
2025.3.22(日)

◇参加者◇
茂木里香・米澤克恵・林結衣
(以上、生活クラブまちあだち)
鈴木公子(やわらかアートアカデミー)
泉美智江(トーキョーコーヒーあだちかつしか)
改田友子(タビスルオヤコ)
阿部直子(子育てカフェeatoco)
(以上、このコどんなコ?プロジェクト)
(阿部) プロジェクト、やってみてどうでした?

(阿部) 今日は生活クラブまちあだちの皆さんと「このコどんなコ?プロジェクト」のメンバーが集まって座談会をしています。生活クラブは子どもに優しいまちづくりに取り組んでいて、「このコプロジェクト」は区内で子どもや親子を対象に活動しているお店や団体、個人が集まって子どもの権利について考えを深めています。1年前に一度座談会を持ち、今回また集まって、この1年間どんなことをやったか、そこで気づいたこと、今後やってみたいことなどを話し合いたいと思います。
◇プロジェクトを振り返って

(泉) 「こどもフリマ」では、子どもたちが「自分で決める」体験がいっぱいできました。
(泉)子どもだけの「こどもフリマ」をやりました。子どもたちが自分で持ってきたものに値段をつけて売る企画です。周りに親は張り付かず、プロジェクトメンバーは見守る形で、子どもが自分で考えてやるスタイルでした。くるみちゃんがすごく活躍していましたね。しっかりお店屋さんになっていました。最初は呼び込みが苦手だった子も、だんだん話せるようになったり、お勧めをし出したり、値段を変えてみたりと、その時間内で少しずつ変わっていく様子が見られました。
(茂木) 子どもたちの感想はどんな感じでしたか?
(改田)隣同士でやっていて、「隣の子は売れているのに私のは売れていない」と言っていた子がいました。そこはその場でどうフォローすればよかったか考えさせられました。
(茂木)最近、学校では「放課後子どもたちだけでコンビニに行かないように」と言われています。でも、なぜ子どもだけで行っちゃいけないのか疑問に思います。子どもなりに制限がかかっていることを意識している中で、こういったフリーマーケットのように自分で決められる体験は貴重だと思います。
◇子どもの自由と創造性について

(鈴木) 大人が意識を変えるだけで子どもが真ん中の社会って作れるんじゃな いかな。
(鈴木)私は学習センターからの依頼で親子アート講座をやることがあるのですが、最初に親御さんに「お子さんの絵が気になっても、ちょっと我慢して見守ってください」とお願いしています。絵は自由で全部自分で決めていけるもので、子どもの自立や自己肯定感のアップにつながるからです。
(茂木)そうですよね。大人には大人なりの絵があって、子どもには子どもなりの絵がある。大人同士なら互いの絵に口出ししないのに、なぜ子どもには言っちゃうんでしょうね。親子で一つの絵を描く時もありますが、その時はお互いにちょっとダメ出ししながらもリスペクトしながら描けるという面白い共同作業になります。アートを通して、お互いの持っているものを意識し合うのはいいですね。
◇子どもの環境ついて
(茂木) 大人ももっと失敗を許し合えたらいいのにね。
(阿部)このコどんなコ?という名前をつけたのも、この子は今何をしたいんだろうとか何を考えているんだろう、どうしたら心地よく過ごせるんだろう、みたいな、ちょっと観察してみては?という思いがあるからなんですね。私の運営するカフェでも、「ここ座ってて」「静かにしてて」とかね、親御さんの都合で子どもに指示する風景が普通にあって。だけど、お子さんはやっぱり色々見て回りたいんだよね。別に迷惑かけてるわけじゃないしね。「大人がしっかりしなきゃ」「ちゃんとしてないとダメな親と思われる」って、そういう鎧は脱ぎ捨てて過ごしてほしいなって思ってるんですけどね。まだ伝わらないところもありますね。だから、お店もあんまり真面目さを出しすぎないようにしようと思ってる。
(茂木)大人同士も、なんかまだお互いを尊重できてない気がする。大人ももっと失敗を許し合えたらいいのにね。
(阿部)そう。自分が許せないから、子どもにも厳しくなっちゃうのかなって思う。
(鈴木)私もさすがにわざと失敗はしていないけど、うちは「やわらかアートアカデミー」って名前なんですよ。柔らかく、リラックスして来てほしいなって。今はね、どんなに汚してもいい環境にしてるんです。前はおしゃれなレンタルルームが教室だったんですけど、ボロボロの建物に移ったんです。だから、絵の具飛んでも大丈夫。保護者さんにもたまにかかったりして、「ごめんね」って言いつつ、のびのびやってます。環境って大事です。
(改田) 子どもにはいろいろな環境を体験させてあげたい。

(改田)子どもたちって環境が限られてるから、周りの大人によって、その子の自由度が変わっちゃうんだよね。Aさんの子ならこれは許されるけど、Bさんの子だと許されない、みたいな。
(茂木)小さい頃、うちは「チョコは食べない家」だったけど、友達の家はOKとか。同じ空間にいるのに、「どっちの正義を貫くの?」ってなる。あれって、子ども同士の問題じゃなくて、大人が作ってる境界線だったりするよね。
(改田)だからなるべく、いろんな環境を体験させてあげたいなって思う。環境って、国みたいなものだから選べないけど。
(茂木)でも、どこに行っても自分らしくいられる心を持てたらいいよね。
(改田)本当そう。Aしか知らないと「Aが正しい」って思っちゃうけど、BやCを知っていれば「AではダメでもBやCなら大丈夫」って思える。でも現実は、Aしか知らない大人も多い気がする。だからこそ、違いを知るって大事だよね。経験や環境の違いを知れば、失敗や他人も許せる。
◇子どもの居場所「まる」の活動

(泉) 子どもにキャベツの千切りをさせると永遠に終わらない(笑)。
(泉) 生活クラブ関連のグループがやっている「放課後ひろばmaru」という子どもの居場所では、基本的に子どもがやりたいことを好きにやってもらっています。おやつは添加物の入っていない体に優しいものを出しています。小学生は宿題を持ってきたり、漫画を読んだりしています。夏には冒険遊び場に遠足で行って、泥だらけになって遊びました。初めてそんなに泥で遊ぶという子もいましたが、すごい集中力でずっと泥で遊んでいました。あとは年に1回、みんなで料理を作って食べる会をやっています。2年連続カレーで、今年は餃子でした。キャベツの千切りを子どもにやらせると永遠に終わらないことを学びました。一本一本がデカい(笑)。でも20人くらいで小学生高学年から幼稚園児まで、教え合いながら作りました。
◇子どもと大人の関係性
(茂木) 大人も子どもも対等に、本気で遊ぶ体験はすごく大事。
(茂木)私も「北区こども劇場」という団体に入っていて、大人と子どもで段ボールで作った剣でチャンバラをしたりします。大人も子どもも同じルールで、子どもだからという特別扱いはなく思いっきり遊びます。大人と子どもの壁がない状態で一緒に遊ぶことがすごく大事だなと感じています。学校ではちょっと危ないとされることも、本当は危なくないことなのに、昔はちょっと危ないこともできていたのに、今は子どもから奪われている印象があります。
(阿部)「危ないことをする権利」が奪われてるんですね。自分が危ないことをして失敗して痛い目に遭う権利。
◇子どもの権利と校則

(泉) おかしいと思ったら、親じゃなくて子ども自身が声を発せられる機会が 増えないかなぁ。
(茂木)学校の話ですが、うちの学校は校長先生が変わったら学校の雰囲気が変わり始めました。中学生のスラックスとスカートを選べるルールがあるのに、前の校長先生は「1年間スラックスと決めたらずっとスラックス、スカートと決めたらずっとスカート」としていました。新しい校長先生に質問したら「そんなことないと思いますけど」と言われて、確認してくれました。たった一言言っただけでルールが変わるということもあるんですね。
髪型の規則も面白いですよね。卒業式で前髪は目にかからないようにとか、髪が肩を超えたら結ぶとか決まっているんですが、特に面白いのが「触覚」(髪の両側の短い髪の毛)について。在校生は禁止だけど卒業生だけ特別許可というルールがあって。
(泉)なぜそこまで細かく決める必要があるんでしょうね。先生たちにも髪型の個性がないですしね。
(鈴木)昔、中学が荒れた原因って、結局「尊重」がなかったからなんじゃないかなって思うんですよね。もし一人ひとりが尊重されてたら、あんなに荒れなかったんじゃないかなって。逆に、尊重されなくて荒れちゃったのかもと。
(茂木)子どもにとって学校環境の影響は大きいので、学校にも子どもの権利の思想が入ってくるといいなと思います。
(泉)小学校の体育の授業で、寒いのに上着を着てはいけないというルールがあって、先生は暖かい格好をしているのに子どもだけ寒い思いをするという矛盾を訴えてきたことがあります。そこで親が出て行くのではなくて、子ども自身が「このルールはおかしくないですか」と言えるようになってほしいです。
◇大人にも逃げ場が必要
(林) 大人も、ときには子どもと距離を置くことが必要だと思う。
(泉)子どもの権利って、日本ではまだまだマイナーな考え方ですよね。
(茂木)「難しい」と感じてしまう人も多くて。でも本当は、生まれた瞬間から空気みたいに「誰もが持ってるもの」なんですよね。
(林)私、日々子どもと関わっていて思うんですけど、子どもたちって本当に一人ひとり個性的。小さな社会を見ているみたいで、私が怒ったところでどうにもならないこともある。だから時には大人も「距離を置く」「逃げ場を持つ」ことも必要だなって感じますね。そういう時すぐイイトコに来ちゃいます。私に取って逃げ場があるって幸せだなって感じてます。
(米澤) 子育てカフェ……リアルに使っている人がいた(笑)。
(改田) 大人がそもそも普段から人の意見を聞けているかな?

(阿部)今日は、権利というのは特別なことじゃなくて、一人一人、尊重されるべき人がみな持っているっていうことを感じました。
(茂木)違う考えを持っているのが当たり前で、それを聞き合うのも当たり前。正解は一つじゃないし、むしろ正解を探す必要もないのかもしれません。
(改田)大人がそもそも他者の意見を聞くことができているかも問題ですね。自分なりの指針があるから、主張で終わってしまって、違う意見があっても受け入れづらい。お互いのことを分かり合えないまま進んでいる日常が多いように感じます。
(茂木)相手の考えを全部受け入れるわけではなくても、一部を受け入れながらその人という存在を受け入れられる、そういう訓練ができるようになると、全く違うことを言う人にもイライラしなくなります。むしろ「新しい視点だ」と思えるようになりますね。